枝折の径に花の萌ゆ

新人作家・中村汐里による雑記。

【終末戦争】きのことたけのこと、それを遠巻きに眺める者

人々はなぜ争うのか――

 

令和の時代になっても争いは止まない。争うことでは解決しないと知りつつも、それでも声を上げずにいられない人間たちを私は何人も見てきた。

今回のテーマとして取り上げる「きのこたけのこ戦争」は、数ある争いの中でももっとも激しいもののひとつと言えるだろう。

これほどまでにポピュラーで、かつデリケートな戦いをほかに知らない。両陣営の雌雄が決することはおそらくないだろうが、それでも人々は戦い続けるのだろう。

幼い子どもすらも知っているこの大戦争、その名を呼ぶのも躊躇われる。

どちらの陣営を先に呼ぶかで順位付けをしていると思われかねないからだ。

 

先に言っておく。私はこの争いにおいては中立派だ。立場を表明せずに逃げていると思われても構わない。理由は後述する。

今回この話題に触れるにあたって、あくまでも「五十音順」に従いって「き」を先に「た」をあとに挙げたに過ぎないとはっきり伝えておきたい。

きのこを優遇して先に出すわけではない。たけのこを下に見ているわけでもない。どうか誤解なきように。

 

さて問題の二陣営がこちら。

 

きのこの山

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たけのこの里

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この戦いが終わる日はきっと来ないだろう。たとえ販売が終了になっても。むしろさらに激化して収集がつかなくなる可能性すらある。

例えば、万が一の話だが……「きのこの山」と「たけのこの里」に製造販売終了の日が訪れたらどうなるだろうか?

各陣営の支援者たちは、まず店頭在庫の確保に走るだろう。私もそうする。どちらも買う。

その中で、きのことたけのこのどちらが早く売り切れたのかを報告する者が出てくるだろう。SNSで人の目に触れ拡散される情報は、味方陣営を鼓舞し、また相手陣営の対抗心を煽り立てる。この動きは急速に拡大すると予想される。

一日も早く完売を目指そうと、各陣営の者は躍起になって商品を探し、見つけ次第購入して自陣営の売れ行きに貢献することだろう。

とある町のコンビニから始まる「きのことたけのこどちらが先に売り切れたかバトル」が、全国スケールの一大ムーブメントとなる可能性があるのだ。

とてつもない話だ。その中で加熱する思想のぶつかり合いが大きな火種とならないことを願うしかない。

とは言え、もはや和解の道は見いだせない。戦争の終結に向けて我々にできることはないのだろう。今だって日本のどこかできのこ派たけのこ派の緊迫したやりとりが行われているはずだ。

老若男女、古今東西を問わぬこの争いは永遠のものだ。センシティブ案件だ。

我が家でも夕方買ってきたきのことたけのこのどちらを先に開封するかで慎重に家族会議を行った。今回はたけのこを先に開けたが、その理由を開示することで不要な論争が巻き起こるのは避けたいので伏せさせてもらう。

諍いは絶えないが、終売せずにずっと売れ続けていてもらうことが、結果的に一番平和なのかもしれない。この記事を書きながら、しみじみ思った。

これからも購入したい。いつまでも売れ続けてもらうために。

 

とにかく、たいへんに慎重を要する議題だった。今回勇気をもって書いてはみたが、あまり深く掘り下げたことまでは触れられなかった。

ご意見は受け入れるつもりでいるが、寛大なご容赦を頂きたい。

きのことたけのこのどちらかに肩入れしている描写と取られないよう、敢えて味や食感については伏せた。私はどちらも好んでいる。シーズンによって変わるフレーバーによって多少好みの偏りは起きるが、基本的にどちらも同じくらい好きだ。

 

なお、そんな「きのたけ中立派」の私が敢えて選びたい第三勢力がある。

読者の皆様はご存じだろうか。

 

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「エブリバーガー」

 

第三勢力と呼ぶには弱いことは百も承知だ。そもそもメーカーが違う。

というか、販売店舗が少ない。うちの近隣には2店舗しかない。知名度が低い。名前を出せば高確率で「懐かしい」と言われる始末だ。

だが私はこのお菓子が好きなのである。バンズを模してゴマをかけたビスケットで、パテをイメージしたミルクチョコとチーズ風の黄色いチョコを挟んでいるのだ。

めちゃくちゃ凝ってる。チョコが2種類入ってるなんてどうかんがえてもリッチだ。作り込みも丁寧でどこからどう見てもハンバーガーだ。ひと口で食べられるハンバーガーというだけで満足度が半端なく高い。バンズのビスケットと具のチョコ部分を剥がして肉厚多重バーガーにして遊んでも怒られない。

そして間違い探しがついているところが地味に高得点なのだ。

この間違い探し、難易度がいくつか設定されているのだが、難しいものはほんとうに難しい。食べながら子どもと一緒に楽しめる。コミュニケーションを生み出してくれるお菓子なのだ。

エブリバーガー、平静初期の香りが否めないマイナー商品ではあるが今でも現役選手だ。店頭で見つけたらぜひ手に取ってみてほしい。

正直、きのこたけのこの争いに疲れてしまった人にこそお勧めしたい。エブリバーガーと争う者はいない。平和な幸せの象徴と言っていい。

ただし数は少ない。出会えたら幸運な仙人のような存在かもしれない。

 

念のため言っておくが、私はきのこ派でもたけのこ派でもない。どちらも好きだ。

争いになんの意味がある? 好きなものを好きと、おいしいものをおいしいと言えばいいだけではないか。きのこもたけのこもおいしい!

ただ私は、それ以上にエブリバーガーが好きなのだとはっきり言っておく。

エブリバーガー最強!